消滅記録集さようなら ①同潤会上野下アパート編
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2013年に84年の歴史に幕を下ろした最後の同潤会・上野下アパートが解体されるまでの2ヶ月間を記録しました。近所に引越した矢先に解体という著者の心境を踏まえてお楽しみください。(A5・60ページ)
この本について
上野下アパートとの最初の出会いがいつかは覚えていません。2004 年頃だったでしょうか。街を徘徊していたある日、周辺の街並みと調和しない異様な建物群が突然目の前に現れました。その強い衝撃とともに、とにかく明らかに戦前からあるボロい団地という感想を持ったことだけが記憶に残っています。後日そのボロい団地について調べたら、それが関東大震災後の震災復興として建設され当時の最先端設備を擁した夢の住宅「同潤会アパート」だったのです。 ですが、同潤会アパートという概念を知ったときには既に代官山にも青山にも大塚にも存在していませんでした。もっと早く知っていれば。後悔しかありません。 知った時には既に写真などの記録の中でしか見ることのできない遠い存在であった同潤会アパート。そんな中で唯一いつでも見に行くことができる上野下アパートに、後悔に苛まれる私の心がどれだけ救われたことでしょう。同潤会を日常のありふれた風景として感じたいがために近所へ引っ越しするほどに、感謝しかありません。 だからこそ もっと記録しておけばよかった。もっと目に焼き付けておけばよかった。もっと日常のありふれた風景であってほしかった。 この冊子は、最後の同潤会アパートといわれていた上野下アパートが解体されるまでの最後の2 ヶ月間を記録したものです。 私が上野下アパートに救われたように、かつての私のような同潤会アパートの存在は知っていたものの遂に見ることができなかった方が、この記録集によって少しでも救われる、その一助になれば幸いです。